イギリスでは2020年1月31日国内初めてのCovid19感染者を確認。同年3月5日に初めての死者が出る。しかし当初イギリスでは集団免疫を取得する対策がとられ、国民は普段と同じ生活を送るよう言われていた。その後政府は、Covid19の感染の拡大を防ぐ事は無理だと受け入れ、重症化のリスクの高い人達を守り、NHS(National Health Service)のパンクを防ぐ為に感染者を一気に急増する事態を防ぐ緩和対策に出る。しかしインペリアルカレッジロンドンの専門家は「もしイギリスが何も対策を取らなければ国民の81%が感染し、8月までに51万人が死亡する」という見通しをたてた。また当時の緩和策でも「25万人が死亡する」という厳しい指摘を受けてボリスジョンソン首相は方向転換、3月23日から法的強制力を伴った完全な都市封鎖、ロックダウンが始まった。ヨーロッパほぼ全域で物流以外は国境も封鎖されたにも関わらずイギリスでは当初、国境封鎖を行っていない。イギリスへ帰国してくる国民を受け入れる為だったが、これがこの後の最悪の数字を引き起こした大きなミスではなかったかと言われている。

ロックダウンを行うも時すでに遅し。感染者数・死者数はその後爆発的に増加。当時、ヨーロッパでスペイン、イタリア、フランスに並ぶ最悪の数字となった。当時の1日の検査数は約3万5000件ほどの能力しかなく、現在の1日50万件近い検査数に対しての感染者数、死亡者数を考えると、当時の感染者数と死者数の割合はとんでもない数字である。なお、総感染者数は1100000人で総死者数47742人に。(11月4日現在)
スーパーマーケット・薬局など生活必需品を取り扱う店舗以外、その全てが閉鎖。国民は家から1日1回1時間の散歩、食料品の買い出しのみ外出が許可され「Stay Home」を合言葉に家にいるだけとなる。国境封鎖のニュースと同時に流通がどうなるかの不安からスーパーでは開店時間前から人々は長い行列を作り、食料とトイレットペーパーの買い占めが起こった。棚は見事に空の状態が数週間続く。
空になったスーパーの棚(筆者撮影) 子供たちの描く虹
このロックダウンは3週間おきに見直しがされ、以下が緩和の条件となっていたが、約4ヵ月もの間、私達は規制の中であった。
- 国民保健サービス(NHS)が事態に対応できること
- 日別の死者数が「継続かつ一貫して」減り続けること
- 感染者増加のペースが「対応可能な水準」に下がりつつあるという信頼できるデータが揃うこと
- 検査と個人用防護具(PPE)の供給量が今後の需要に確実に応えられること
- どの緩和措置も2度目の感染ピークの原因とならないこと
国民の60%以上がこの厳格なロックダウンに従ったという。繰り返し政府とメディアが協力してStay Homeというメッセージを送り続け、国民は「ウイルス退治の為に、一致団結して困難を乗り越えよう」という思いだったに違いない。皆、窓に「希望」のシンボルとしてレインボーの絵をかかげ、お互いを励まし合い、毎週木曜8時には窓際や外で「Thank You NHS」NHS労働者への感謝の気持ちをこめて1分間の拍手を送った。
しかし残念ながら今回のロックダウン2.0にはこの時のような国民の団結は見られない。ヨーロッパではクリスマスと言えば家族と大事な時を過ごす非常に重要な時間だ。そのクリスマスを前にした2度目のロックダウンで今年は家族とは会えないかもしれないという思いが人々を暗い気持ちにさせ、経済を圧迫し失業者問題も増加している中、国民は疲れ切って、もはや政府に従う気力も失っているのかもしれない。