
一時、5万人を超えたイギリスの新規感染者も減少傾向を示し現在は1万人台が続いており、少なくとも1回目のワクチン接種を終了した人は1450万人に達した。
しかしイギリス株の新たな変異、アフリカ株の市中感染の可能性がわかり、科学者によると、今、緩和すればまた感染者は激増すると警告。
ボリス首相は2月22日(月)に今後の指針を発表するとしているが、イギリス3度目のロックダウンも緩和の見通しが立っていない。
しかしイギリスでパーティー好きな若者を中心に「Covid Rave」と呼ばれる違法レイブが後を絶たない。
見かねた政府は違法なイベント開催に対する罰則を強化しているが、それでもパーティー好きなレイバー達をコントロールできないでいる。
しかしこうした問題はイギリスだけではない。
欧州各地でも外出規制を破る若者が問題となっており大勢が集まれば感染リスクは増すため、ロックダウンをしても感染は減らない一因になっている可能性があるのだ。
とある日。廃墟となった倉庫で開催される予定だった「Covid Rave」。
イベントチケットは何百万枚も販売され、主催者はイベント準備の為に倉庫に到着したころ、イベント開催を察知していた警察によって逮捕される事態となった。警察はコンサートの備品や麻薬も押収。
英国で珍しく雪の積もった日には、多くの大学生が公園に数百人が集まり雪合戦大会が開かれた。
歓声を上げて雪を投げ合ったのは大学生らで、そのうちの1人は地元紙に「都市封鎖で精神的に参っており、楽しみが必要。肉体だけでなく精神の健康も重要だ」と話した。
地元警察は、多くの参加者を危険にさらしたとして、雪合戦を企画した20代の男性2人にそれぞれ1万ポンド(約143万円)の罰金を科した。
イギリスではすでに新型コロナウイルス関連の対策の1つして15人以上が参加するハウスパーティーの取り締まりを強化。
具体的には15人以上が集まるパーティーを主催または参加し法律に違反した場合にはこれまでの200ポンド(2万8000円)の4倍にあたる800ポンド(約11万3000円)罰金が課せられる。
現在、この規制に違反して集会を主催する者に最高で1万ポンド(約143万円)の罰金が課せられる可能性があるが、レイブ大国イギリスにおいて、どれほどの抑止力になるのかは疑問だ。
同様に18時以降の夜間外出禁止令が出されている隣国のフランス。
今、イギリス、ドイツ、イタリアに次いで高い感染者数がでており、今後の感染者数の動向によっては再度、ロックダウンも視野にいれているといった厳しい状況下、昨年の大晦日から新年2日にかけてやはり空き倉庫にて2500人の違法レイブが強行され、摘発された。
参加者の一部は駆け付けた憲兵隊車両に放火し、石を投げるなどの暴行事件に発展、1200人が検挙、罰金を課され、PCR検査後、10日間の自宅隔離を命じられている。
その時に逮捕された主催者の1人はその後のインタビューで「準備段階で想定以上の若者からの参加申し込みはあり、彼らはコロナ過で極度のストレスを感じ、発散したがっている事を確信した。そんな彼らの為にしたこと。後悔はない。」と語っている。
今、世界中は新型コロナウイルスの蔓延防止の為に戦っている。
一生懸命に医療従事者が命を救おうと働く中、レイブを主催する事は非常に無責任であり、自分勝手であり、危険な行為である。
規制を破る人々が接触すれば、それだけ感染する機会も増える。
欧米は日本と違い、個人の自由を優先する国民性から若者を中心に政府方針になかなか従わないことで感染が拡大している。
しかし若者の良心に訴えるだけでは限界がある。
さりとて、若者だけを対象として罰則強化は国民の合意を得られないであろう。
各国の政府は違反者をどう減らすかと同時にロックダウンが続けば続くほどたまっていく若者の不満に目配りもしなくてはならないという難しい対応を迫られ政府の葛藤が続いているのだ。
どの国においても感染症対策がいかに難しいかを示している。
「カリギュラ効果」禁止されるとむしろやりたくなってしまう心理のことだ。
これは1980年に公開された映画『カリギュラ』が過激な内容のため一部地域で公開禁止となり、それがかえって注目を集めたことに由来している。
禁じられると逆にやりたくなる。
してはダメという禁止の情報が入ると人は自由に行動を選択したいという欲求が阻害されストレスを感じる。
すると今度はそれを均衡状態に戻したいという欲求が働き、禁止事項をどうしてもしたくなってくる。
このような現象が起こるのは、人が本能的に持つ「自由に行動を選択したい欲求」に起因すると考えられており、この欲求は、赤ちゃんにさえ備わっていることが心理学的実験で確認されている。
童話「鶴の恩返し」。覗きたいという欲求を抑えることができなかったおじいさんとおばあさんだが、部屋を覗いて鶴は飛び去っていってしまい2人は涙する。
「浦島太郎」でも開けるなと言われた箱を開けおじいさんになってしまい、箱を開けた事を後悔する。
このように、行動の先にあるネガティブな結果をリアルに想像できれば、危険回避欲求のほうが勝り行動を抑制することができるのだろうが、冷静な判断をこのような異常事態に若者に求めることにも無理があろう。
今後も自然災害やウイルスの脅威と共存していく私たち。
日本でも特別措置法の改正に伴い罰金を課す法律になるようであるが、こういった欧州の例を参考にすべきであろう。
重症化しにくい若者が自粛しないのは合理的で、非難したり恐怖をあおったところで反発を招くだけ。
こういった若者の危険回避欲求に語りかけるような対策をとると同時に「利他心」がKeyとなる。
他人の利益を重んじ、他人が利益を得られるよう振るまうということ。
こうした心に訴えかけるような対策はないものだろうか。