Covid19によりホスピタリティー業界の80%が休業や閉鎖を余儀なくされ、140万人が一時解雇された。そこでイギリスでは経済的に大打撃を受けてしまった外食産業を支援するスキーム「Eat out to Help out」が8月3日から8月31日まで行われた。日本でいう「Go to Eat」だが、仕組みはよりシンプルだ。

毎週月曜・火曜・水曜は登録した8万4700店舗の対象店舗にて1人あたりの上限は10ポンドで飲食代が50%オフになった。(Take awayと酒類は対象外)残りの50%は政府が負担。約1ヵ月という期間限定だが、国民は何度でも利用が可能だった。

個人事業主でも基準を満たしていれば登録ができ、大企業だけにとどまらず、中小企業への経済支援として広く展開で来た点は評価できるものであろう。月~水曜のレストラン予約は前年8月よりも53%も増加し、終了日の31日には213%も増加したという事だが、しかし、これらからの恩恵はごくわずかだったという調査結果もあり、費用対効果については疑問を投げかかる専門家も多い。また、このスキームが9月からの第2波の一因となっていたと10月30日にイギリス・ウォーリック大学が調査結果を発表した。

同大学の調査によると発生したCovid19のクラスターのうち8-17%は同キャンペーンに起因するものとし、キャンペーンに参加したレストランが多い地域ではキャンペーン開始から1週間してCovid19クラスターが著しく増加。終了とともに減少傾向を示した。また雨の降った地域と晴れの地域の新規感染者を調べたところ、雨の降った地域では新規感染者は少なかった。(雨の降った地域はレストラン利用者が減少したため)

旅行とは異なり、広域にわたる移動が必要なく、店内環境の整備さえ整えれていれば感染拡大リスクをある程度コントロールできたはずだ。レストラン事業者にっとっては遠のいてしまった客足を戻すきっかけとなり、利用者にとっては久しぶりの外食を気軽に楽しめるきっかけとなって、双方にとってメリットのあるキャンペーンのはずだった。

しかし、実際には、きちんとした感染対策のガイダンスも、きちんとした追跡システムもないまま、実行されたこのスキーム。更に人々は長かったロックダウンの後、久しぶりの外食で少しだけ気が緩んでいたことは否めないであろう。

追跡の為の個人情報カードを記入(名前・連絡先のみ)していた店舗はわずかで、(今は追跡アプリからQRコードを読み取る形が取られている)スタッフ全員がマスクをしている店舗もあれば全くしていない店舗もある。客はほぼマスクをしていなかった。入口に手消毒を行うステーションを設置している店舗もほぼなかったというのが筆者の個人的な印象だ。

ボリス首相はBBCにて「感染を抑制するためのロックダウンと経済活動のバランスを政府は取ろうとしている。」と説明。続けて「このキャンペーンがウイルス拡散の一因になったかもしれないという意味では政府が今、提案している規律と政策をもって当然ながらこれに対抗する必要がある」と発言。各メディアは、ボリスジョンソン首相がEat out to Help outがウイルス拡散の一因と認めたと報じた。

イギリス政府は旅行・雇用・インフラなどさまざまな救済キャンペーンを企画している。イギリス式・消費を促し、落ちたお金で経済を回していこうというスタイルの経済的ツケは後日、国民への増税や公共サービスの削減となって回ってくるであろう。ホリデー規制を8月には解除、加えてEat out to Help out政策を掲げ、国民には「出かけろ・金を使え」と働きかけ、翌月には新たな規制をかける。このような振り子政策では長期間ウイルスと共に生きていかなければならない状況の助けにならないのではないだろうか。

新型コロナウイスル対策 企業・組織における初動対応ガイドライン

経営者・危機管理担当者・感染対策担当者・事業継続担当者・広報担当者のための資料です。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事