英国・コロナ過(ロックダウン)における政府からの手厚い補償

コロナ後の世界を楽しみにしている・・・とある飲食店店主はこう言う。
以前としてコロナ感染者数が増減を繰り返している今もなお、世界各国で経済活動をフル稼働できないでいる。変異種による急激な感染者数増加を抑制すべくイギリスでは3回目のナショナルロックダウンに入った。最も大打撃を受けているのはイギリスの飲食・小売業界であろう。そこで感染対策と同時に求められているのが経済活動に関する対策・補償だ。イギリス政府はどのような対策・補償を行っているのか。

イギリスには従来、従業員の賃金を補填することにより雇用主を救済し雇用を維持しようとするスキームは存在しなかった。しかし今回のコロナショックは、こうしたイギリスの政策スタンスにも変化を与えたのである。昨年 4月20日に導入された正式名「コロナウイルス雇用維持スキーム(Coronavirus Job Retention Scheme)」通称「Furlough Scheme」は、雇用主が従業員を一時帰休(furlough)にして休業等の期間における雇用を継続する場合、賃金の8割(月額2,500ポンドが上限)が支払われる制度である。

7月に入ると、政府は雇用維持や就労支援の新たな政策パッケージ「雇用のためのプラン」(A Plan for Jobs)を公表。総額で300億ポンドを投じるとしたこの対策パッケージにおける柱の1つは、「雇用維持一時金」(Job Retention Bonus)。新型コロナウイルスの影響を受けた企業の従業員を2021年1月まで継続して雇用した場合に、1人当たり1,000ポンドを雇用主に支給するというものであった。一方で財政の負担軽減を図る必要に迫られていた政府は、できるだけ早期に労働者の職場復帰を促すため、8月以降雇用主の負担を段階的に引き上げ、労働者の職場復帰をさらに促した。通称(Flexible Furlough Scheme)このFlexible Furloughが今年3月まで延長となり今現在、適用されている。給与を80%補償する代わり、会社が必要とならば従業員を勤務に戻すことができるという(拒否をすればFurloughからは外される)両者にとってメリットのあるスキームだ。

さらに先日、イギリス政府は、現在のナショナルロックダウン下では飲食店と、生活必需品を扱う店以外の小売店が原則として再度営業が禁止になった。変異した新型コロナウイルスの感染拡大によって経済活動への厳しい制限が長引くと見込まれることを受け、これら営業ができなくなった飲食店や小売店などを対象に規模に応じて、1店舗あたり4000ポンドから9000ポンド、日本円で56万円から126万円を支給すると発表。支給は一回限りだが、月額で最大42万円の補助や、従業員の80%の給与保障といった従来の支援は継続するとしていて、支給はこれらへの上乗せされる。また強制クローズさせられている業界の事業オーナーへは最低3ヵ月は家賃の支払いをしなくてすむようサポートが既にある。ただし賃料の支払いは据え置きされているだけで、結局は借金となってのしかかっているわけだが・・・。スナク財務相は「休業を求められ、最も影響を受ける事業者を支援するため、雇用の維持やビジネスの支援に引き続き力を入れていく」と話している。しかしながら経済界は、飲食店や小売店と取り引きがある事業者にまで対象を広げるべきだと訴えていて、経済への影響を食い止めるには不十分だという指摘も出ている。

では現場ではどうか。ただ政府の補償に甘えているだけなのか。いや。イギリスの飲食店は違う。小さなチャンスを生かしたサバイバル作戦や地域への貢献活動などが広く活発に行われている。いったいどんな活動が行われているのか、飲食店をはじめ、人々の前向きな取り組みついていくつか紹介する。たしかに今、経済活動が強制的にストップさせられ、個人や企業への打撃は計り知れない。しかし見方を変えると、世の中がこれまでとは違う道を模索するきっかけになっているようにも見える。


将来使えるバウチャーを販売し、今の売り上げを確保。テイクアウト&デリバリーは許可されいる為、サービスを切り替え営業。ドライブスルーでアルコールを販売したり、オンラインバーを開店させビールを事前にオンラインで購入、オンラインバーにてビールテイスティングやPUBお決まりのクイズやビンゴゲームなどが行われている。星付きのレストランのシェフは自宅で簡単な調理だけで有名料理店の食事ができるDelivery Boxで勝負。NHSへの温かい食事デリバリーを行う一般ボランティアも後をたたない。これがたくましいイギリス飲食業界の姿だ。様々な工夫を凝らすことによって生き残りを図っている。Deliveroo、Uber Eatsなどのデリバリーサービスが大成長していることからも、イギリスの飲食店のセールス方法がシフトしてきていることが分かるであろう。これまでの1年間、繰り返し行われてきた厳しい規制の中を必死になって試行錯誤の中、やっとここまで来た。恐らく変化・進化へ柔軟に対応できるタフで幸運な中小企業だけが生き残るのかもしれない。

英国ではこういった雇用スキームの対策もありながら、大手企業などではリストラが多く起こっており、失業者の増加の歯止めがかけられていないのも事実だ。しかしロックダウンが強制力を持つものならば、その分の補償を精一杯手厚く行うイギリス政府の対策。それに甘んじることなく、ユーモアを忘れずにたくましく生き残りをかけて戦う飲食店や中小企業たちの姿、コロナ後の世界を楽しみに思えるイギリス飲食店店主の姿がそこにある。

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