Covid-19神話

アマビエのような人々の心のよりどころとなるような神話ならまだしも、あり得ないような神話が今回のCovid19パンデミックで起こったのはご存知だろうか。とある研究チームでは、北米、欧州、中国、日本を含め、世界85カ国25言語で2311種の噂や偏見、陰謀論を特定。噂やデマを含め、真偽不明の情報が大量に氾濫し、多くの人々に混乱や動揺をもたらす「インフォデミック」が社会問題になった。(「インフォメーション(情報) 」と感染症の伝染を指す「エピデミック」を合わせた言葉。)そのいくつかを紹介する。

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ニンニクを食べると感染が抑制される

Facebook上で拡散された神話だ。世界保健機関(WHO)はニンニクについて、「何らかの抗菌力があるかもしれない体にいい食べ物」とはしている。しかし、ニンニクなど特定の食べることがCovid-19 への防御になる証拠はまったくない。

「ミラクル・ミネラル・サプリ」MMSがCovid-19 のウイルスを消滅させる

ユーチューバーで、SNSで何千人ものフォロワーがいるジョーダン・セイザー氏の「ミラクル・ミネラル・サプリ」(MMS)。MMSには、漂白剤の成分である二酸化塩素が入っているという。しかし飲用した場合は、吐き気やおう吐、下痢、重度の脱水の症状などが出る恐れがあるとして米食医薬品局(FDA)はMMSの飲用は非常に危険だと警告を発した。

銀を飲むとCovid-19 のウイルスを死滅させる

アメリカのTV宣教師・ジム・ベイカー氏がコロイダルシルバー(コロイド銀)を12時間以内であればCovid-19 ウイルスのいくつかの種を殺す作用があると主張した。このコロイド銀はすべての病気を治すことができ、消毒剤として機能し、免疫機能を補助すると推奨。しかし米保健当局は、この種類の銀が病気に効果的だとする証拠はないと明言。腎臓の悪化、ひきつけ、皮膚が青くなる銀中毒などの深刻な副作用が起こる可能性があるとしている。

15分ごとに水を飲む

とある日本人医師が推奨した15分おきに水を飲んで、口内に侵入したかもしれないウイルスを流し去るというもの。アラビア語にされたものは、25万回以上シェアされている。ブルームフィールド教授は、これが有効だとする証拠は皆無だと話す。空気中のウイルスは、人が呼吸したときに呼吸器管を通って人体に入り込む。口の中に入るウイルスもいるかもしれないが、こまめに水を飲んでもウイルスの侵入を防ぐことにはならない。

高濃度のアルコールを摂取し体内の消毒をする

予防策として「高濃度アルコールの摂取がウイルスの消毒になる」という偽情報がイランなど世界各地で広まり、Covid-19 の治療に効果があると信じてメタノールを飲んだ人のうち、5900人が入院、約800人が死亡し、60名が失明した。

ウシの尿や糞が効く

インドではSNS経由の偽情報で多くの人々がウシの尿を飲んだり、糞を食べたりした。また、サウジアラビアではラクダの尿が治療に効くとする偽情報も出回る。その他、暖かい靴下を履く、胸にガチョウの脂肪をまき散らすと予防に効果的などの噂も流布していた。

そもそもCovid-19 はでっちあげ

それを信じた男性の妻が死亡している。フロリダ州に住むブライアンさんとエリンさん夫妻は今年5月、COVID-19を発症。エリンさんは亡くなった。夫妻はCovid-19 について様々な情報をオンラインで読んできた。捏造(ねつぞう)されたものだとか、第5世代移動通信システム(5G)によって拡大しているとか、インフルエンザに似ているだけだなどである。そしてこの夫妻は数ある神話の中で「アメリカ政府が国民の注意をそらすために利用している」と信じ、結果、妻・エリンさんを失ったのだ。今、ブライアンさんは妻に懺悔する日々を過ごしているという。

驚くべきはいまだにたくさんの人がこのCovid-19 は国際組織によって作られて嘘の危機だと考えているという事だ。 筆者のまわりにもいる。マスクをして会話をする筆者に対し「まだCovid-19 を信じているの?!」と。
更に既に接種が始まっているワクチンを巡ってはビルゲイツ氏が「ワクチンを利用し、膨大な数の人々にマイクロチップを体内に埋め込んで監視しようとしている」といったものも出回り、それを信じる人が大勢いるという事。何を信じ、何に従うかは個人の自由である。しかし噂や偏見、陰謀論による偽情報が科学的知見に基づくガイドラインよりも優先されれば、個人や社会に深刻な影響がもたらされかねない。こういった信じがたい神話の排除が2次対策として必要である。

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