40年前に出現し2万数千年前(4万年前という研究者もいる)に絶滅。ヨーロッパ大陸を中心にアジアから中央アジアまでに分布していたというネアンデルタール人。彼らの遺伝子がCovid-19の重症化と関係しているというのは本当か・・・日本を含む東アジアで死者数が少ないのはなぜか・・・これに有力な仮説が浮かんでいる。

ネアンデルタール人イメージ

英・科学雑誌ネイチャーにCovid-19とネアンデルタール人との関連性について論文を出したマックス・プランク進化人類学研究所のスパンテ・ペーボ進化遺伝学部門長らの研究グループ。

調査の結果、人には23対計46本の染色体が存在するが、Covid-19の患者3000人を調べたデーターから重症化の遺伝的要因として3番目の染色体が関係している事が判明。この遺伝子多様体(バリアント)は現人類が6万年あまり前にネアンデルタール人と交配した際に受け継ぎ、この遺伝子多様体を持つ人がCovid19に感染した場合、人工呼吸器を必要とする可能性が3倍に増えるとこの研究グループのザバーグ氏が発表した。


さらに遺伝子多様体を持つ人がバングラデシュ人で60%以上、ヨーロッパ系が20%、そして驚く事に東アジア系とアフリカ系に保有する人はほとんどいない事がわかった。そしてこのネアンデルタール人の分布図とCovid-19パンデミックで深刻な被害を受けている国の分布図とを比較すると東アジアでCovid-19感染が少ない反面、欧米やインドなどでケタ違いに多い実態とぴったり符合するのだ。

4万年前にも全滅している旧人の遺伝子が今日の新たな感染症の流行の中で大きな影響を与えているという事は大変興味深い事だ。人のゲノムの約1-4%は古代に由来している。生き残った古い遺伝子の多くは現代人に有害であり、不妊症や病気のリスクの増加にも関係している。しかしいくつかは有益のものもあり、現代のチベット人が非常に高度な場所での生活に対処するための遺伝子情報などがその一例である。そして有害である例がまさに、このCovid-19の免疫システムだという。遺伝子によって媒介される防御免疫反応が過度に攻撃的になり、重度のCovid-19症状を発症する要因になっている。その結果、その昔、生存に有益であったかもしれないこの遺伝子が、今では悪影響を及ぼしている可能性があるという。

しかしながらCovid-19は複雑な病気であり、その重症度は、とりわけ年齢、性別、民族性、肥満、健康、ウイルス量に関連しているとも言われている。遺伝子から作られるタンパクの質や量は生活環境や食事によっても変わり、生活習慣の違いや医療格差といった環境因子の後天的要素も否定できないであろう。アフリカの例を見ても社会的不平等による影響はネアンデルタール人由来のDNAよりも死亡リスクの大部分を占めている事を忘れてはならない。

またファクターXの候補として話題となったBCGワクチンだが、ネアンデルタール人の遺伝情報もBCGも、重症化や死亡率との相関関係から類推している段階。根本的な影響はまだまだわかっていない事が多すぎる。社会的要因と行動(社会的距離やマスクの着用など)は私たちの管理下にあり、感染のリスクを効果的に減らすことができることを認識することが重要ではないだろうか。


人はこれまでも感染症と共に生きてきた。そして今、私達はCovid-19パンデミックの下でネアンデルタール人が起こしたような選択肢の中にいて未来の感染症へ影響を及ぼすのかもしれない。

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